2007-01-01から1年間の記事一覧

裂け谷の写真?

100円ショップ(ダイソー)で来年のカレンダーを見ていたら、世界の山の写真のものがあり、裂け谷の絵によく似た谷間の写真が載っていたので買ってきた。 トールキンがホビットの冒険のために描いた挿絵も構図は同じだけれど、このカレンダーの写真を見て…

Is That All There Is?

前出のBeversluis の本で、ルイスのJoy の概念について検討しているくだりがあり、Joy という概念に通じる身近な例として、Peggy Lee の歌う「Is That All There Is?」という歌が紹介されていた。題名から はどんな歌なのか思いつかなかったので、検索して見…

C・S ルイス反駁の書

C.S. Lewis and the Search for Rational Religion by John Beversluis という、ルイスのキリスト教護教論に対して反駁を試みる本の新版が出た。ルイスは「キリスト教の精髄」の中で、「理性的な検証によってキリスト教が正しいと思えないのであれば、私は誰…

「物語について」

「何度も読みかえすかどうかということ、それはもちろん、どの本の、どの読者にとっても、よい試金石です。文学的ならざる読者とは、本をたった一度しか読まない人間と定義してもいいでしょう(※1)。マロリーやボズウェル、トリストラム・シャンディやシェ…

優しい厳格

オークションに出ているトールキンの手紙が Tolkien Library で紹介されている。手書きの書面は達筆過ぎてまるで読めないので(笑、トランスクリプトを読む。”stern gentleness ”、ガンダルフの人格的魅力を端的に表していますね。これが子どもにとって、も…

Roots and Branches シッピィ先生の新刊

シッピィ先生、「Author of the Century」以来のトールキン本で、今回はあちこちに発表されたものを集めた論文集になっている。mythsoc に目次内容がアップされており、それを見ると、これまたそそられるタイトルの論文が多い。すでに持っているトールキン論…

Parma Eldalamberon 17

エルフ語に関するトールキン自身の未刊行文献を、おりにふれ掲載している Parma Eldalamberon (クゥエンヤで'The Book of Elven-tongues' の意味だそうです)というエルフ語の研究誌があり、トールキン本人による文献はできるだけ集めたいと思う一方で、HoMe…

「ヒストリエ」岩明均 1〜4巻

コミックファンの間では今更かもしれませんが、ネット上の紹介文を読んで面白そうに思い、1巻〜4巻を一気読みしました。「寄生獣」でもそうでしたが、この作者は人体の切断を嬉々として描く趣味があるようで、最初のうちは、斬殺シーンを存分に描くために…

ふくろをかぶっていなかった?

The History of the Hobbit は浅学の身には全編にわたって何かと教えられることが多いけれど、ちょっと書き留めておきたい個人的な発見を一つ。ビルボとスマウグの会話の場面で、スマウグにお前は何者だと聞かれたビルボが、自分の素性や本名を明かすのは賢…

気になる本

今回で四巻目となるTolkien Studies を購入。毎号、肝心の論文のほうはロクに読んでもいないのだが、二巻目以降、書評欄の充実振りがすごく、ほとんど書評を読む目的で買っている。今回も既刊、近刊で読んでみたい本がいくつかあったので書いておく。 The Ro…

星よ、導きたまえ

ハモンド&スカル夫妻のLotR注釈本(p101)に、ギルドール一行によって歌われるエルベレス賛歌と、カトリック信徒に親しまれているという聖母マリアの賛美歌(stella maris 海の星)が似ているという指摘がある。(*1)まずエレベレス賛歌の原文を引用。Sn…

Hail, son of Hurin. Well met!

このHail 〜, well met という言い回しは、CoHで、トゥーリンとグラウルングの二度の遭遇のさい、かなり辛辣な挨拶として交わされるので一読忘れがたい印象を残すが、以前、C・Sルイスの兄ウォーレン・ルイスが書いた日記「Brothers & Friends」を読んでい…

The History of the Hobbit: Mr Baggins

とりあえず最初の数章を読んでの個人的な発見をいくつか。 ・1960年にトールキンはLotRの文体でホビットの冒険を書き直そうとし、途中で放棄したものの、その試みの最初の数章が存在するらしいこと。これは瀬田訳の「ですます調」を「である調」に書き直そう…

The Children of Hurin 到着。

もともとDVDの販売をしていたDeepdiscount というショップが最近本の販売も始めており、リージョン1のDVDを注文したついでに本書の注文を入れておいたのだが、早くも4/5には発送メールが来て、14日に届いた。ハーパーコリンズ版かホートン・ミフリン版…

「君よ憤怒の河を渉れ」を見る

佐藤純彌監督の映画は「新幹線大爆破」や「北京原人」等、作り手の意図に反して、トンデモ系おバカ映画的な見方をされているようで、本作もややリアル感を欠いたクマの登場や、はなはだ緊張感を欠く劇伴音楽、「男は死に向かって飛ぶことが必要なときもある…

宗教的象徴など

「宗教心理学」(松本滋 東京大学出版会)という本で、ティリッヒが提示した宗教的象徴の分類が紹介されている。この分類を見ていて、今更ながらトールキンの物語の要素と宗教的象徴の類似に感心してしまった。以下、その分類をあげてみると、イ) 聖物―トー…

束翁と沙翁 語句ノート きれいはきたない

・ 「きれいはきたない、きたないはきれい。Fair is foul, and foul is fair. 」「マクベス」冒頭近くで呪文のように魔女が唱える有名な台詞ですが、この fair-foul の組み合わせは、アラゴルンに対するフロドの第一印象、「見かけは悪く(foul)、感じはよ…

ポランスキーの「マクベス」を見る

Macbeth [DVD]出版社/メーカー: Columbia Pictures発売日: 2002/05/27メディア: DVD購入: 1人 クリック: 7回この商品を含むブログ (9件) を見る「トールキンとシェイクスピア」の本を読む前に、少しシェイクスピアについて予習をしておこうと思い、とりあえ…

トールキンとシェイクスピア

今年、こんな本の出版が予定されているらしい。トールキンへのシェイクスピアの影響(というより反発か)は、マクベスに出てくる予言「女の産み落とした者」とエオウィン「人間の男の手によっては」の類似、同じくマクベスの「バーナムの森が動かぬ限り」と…

ベレリアンド地図の額装

ネイスミス挿絵版「シルマリル」に付いているベレリアンドの着色地図を額に入れて飾ってみた。額はハンズで買ってきた在り合わせのもの(2835円也)ですが、こうして額装してみると、折り目はいかんともしがたいものの、なかなか立派そうに見えるではありま…

トールキン百科のうわさ

トールキン百科はテーマ別一覧と、寄稿者一覧ページはあるものの、どの人がどの項目を担当しているのかは、それぞれの項目記事を開いてみるまでわからないので、たとえばShippey教授の書いたものをまとめて読みたいと思った場合、この先生ならこのテーマかな…

Tolkien Encyclopedia 到着。

発送メールが来てから一ヶ月を過ぎても届かないので、また配送トラブルかと気を揉んでいましたが、本日無事到着しました。長旅の間にほうぼうでかなり揉まれた様子で、梱包の箱があちこちぶつけたようにひしゃげてところどころ破れかかっており、中の本の状…

なんだかな

トールキン百科よ・・どこをさ迷っているんだ・・早く来い・・と念じてるうちに年も明け、正月も明けてしまったのにまだ到着しない。よほどふだんの行いが悪いようだ。そうこうするうちに、Tolkien Library にレビューが出た。これ読むと、editor が存在しな…

誓言の重み Oaths and Oathbreaking

Tolkien Studies ?の書評ページに、John・R・Holmes 氏 が書いた Oaths and Oathbreaking : Analogues of Old English Comitatus in Tolkien's Myth というタイトルの論文が紹介されており、トールキン作品における誓言というものの重要性を論じていてとても…