Parma Eldalamberon 17

エルフ語に関するトールキン自身の未刊行文献を、おりにふれ掲載している Parma Eldalamberon (クゥエンヤで'The Book of Elven-tongues' の意味だそうです)というエルフ語の研究誌があり、トールキン本人による文献はできるだけ集めたいと思う一方で、HoMeにすら収録を見送られた言語的文献ゆえやたらマニアックな内容っぽいのに怖気づいて、今まで買うのを見送っていたのだが、最新号は、LOTR中に使われている人工言語に関するトールキン自身によるコメンタリーとノートであるらしく、初めて食指が動いた。
詳しい内容はこちら

The current issue is a commentary by J. R. R. Tolkien from the late 1950s and early 1960s concerning the words and names from his invented languages incorporated into The Lord of the Rings.


LOTR中に出てくる人口言語に関するトールキン自身のノートは、LOTR Reader's Companionにも収録された「翻訳の手引き」がまず思いつくけれど、「翻訳の手引き」はあくまでも「翻訳の手引き」であり、本号の内容紹介にある、with detailed translations and syntactic explanations, together with a discussion of the etymologies of the various words and names. というものとは明らかに違う。そんなノートがあれば、まっさきにReader's Companion でも引用されていそうだが、どうもそれらしい記述を読んだ覚えがなく、なんだかよくわからないままに、とりあえず注文してみた。

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(追記)
Parma Eldalamberon 17号の、トールキン自身によるLotR 異言語ノートに関する情報が、ハモンド&スカル夫妻のReader's Guide にあるのを偶然見つけた。 

’Analysis of fragments of other languages found in The Lord of the Ringsという見出しで、このタイトルは、HoMe の中でクリストファーが用いている表現に従ったようだ。

HoMe では、とりわけLotRのメーキングの巻で数回この文献が参照されており、クリストファーによると、出だしはかなり詳しい注釈でスタートしたものの、FotRの巻末に至る前に判読不可能な殴り書きのようなものになって放棄されてしまったということである。(これに限らず、トールキンは最初は物凄い集中力でスタートし、次第にネジがゆるんできて途中で放棄、というパターンが多いようだ。)

Morgoth's Ring のp387に、エルベレス賛歌に関する比較的長い注釈がこのノートから転載されており、興味のある向きはご覧になってみてください。