2006-01-01から1年間の記事一覧

あとは読むだけ。

年内中に「トールキン百科」が届くことを念じていたが、結局届かずじまい。帰省中は手持ち無沙汰なので、持参して田舎で読もうと思ったのに残念。にしてもツン読もずいぶん溜まっており、これから少し消化することに専念せねば。とはいえ来年は「フーリンの…

J.R.R. Tolkien Encyclopedia 制作の内幕

アマゾンUSのカスタマーレビューに寄稿者の一人が、この事典ができあがるまでに色々な紆余曲折があったらしいことを仄めかしているが、その後、編集主幹のDrout 氏がご本人のブログで本の制作過程が実に不条理な展開だったことを明かしているのを遅まきな…

J.R.R. Tolkien Encyclopedia

Companion&Guide のReader's Guide のテーマ別項目を抜き出していて、同じようなトールキン事典の印象であるJ.R.R. Tolkien Encyclopedia: Scholarship and Critical Assessment のほうの項目はどういうテーマを扱っているのだろうと気になっていた。だいた…

「ビルボの別れの歌」が・・

オークションに出ている! ポーリン・ベインズによる「ビルボの別れの歌」の原画(&ポスター)と、詞のオリジナルタイプ原稿、それと詞の著作権をジョイ・ヒルに寄贈する旨を記したトールキン直筆の手紙のセット。スタート金額は$20,000!Tolkien Library な…

Companion & Guide テーマ別項目

Reader's Guide のテーマ別項目を関心を惹くものからポツポツ読んでいるが、どの記事を読んでも実に面白い。たった一つの項目を書くためにも関連しそうなあらゆる文献を狩猟し、徹底的な調査をしていることが伺える。このように膨大な未発表書簡やマイナーな…

Companion & Guide メモ ボーヴォワールの引用文

トールキンの紹介ビデオ「ザ・ロード・オブ・ザ・リングを創った男」(*1)でトールキンがボーヴォワールの著作を引用するところがあり、トールキンとボーヴォワールの取り合わせに意外な思いがした記憶があったのだが、Reader's Guideによれば、この引用部…

The J.R.R. Tolkien Companion and Guide

Companion & Guide がようやく到着。洗練されたデザインの箱に、持ち重りする大判の本が二巻、本箱の上に置いてしばらくその偉容をホレボレと眺めてしまう。イラストや写真一切無しの活字のみ、総ページ数は二巻合わせて2300ページあるそうで、なんとい…

Tolkien Studies 他

Companion & Guide 、到着がやけに遅いなと思ってアマゾンUKのアカウントを調べたら、なんと、どこかの地点でUターンしてしまっていたらしく、発送元に送り返されていた。その旨、アマゾンからはメールで知らせてきていたのだが、その連絡メールはプロバ…

超弩級のレファレンス本たち

ハモンド&スカル夫妻の Companion & Guide を首を長くして待っているのだが、いまだ到着せず。アマゾンUKのデリバリー予定では13日ぐらいに到着になっていたのだが、今頃どの辺を彷徨ってるのやら。ところでハモンド夫妻の本とほとんど踵を接するようにし…

偉大さとは何か

奥泉光が大岡昇平の『レイテ戦記』について書いている文章を読んで唸ってしまった。 『レイテ戦記』について書かれた文章でありながら、あたかも『指輪物語』について書かれた文章のように読めるのだ。「『レイテ戦記』は偉大な作品である。その偉大さは、た…

秋の観念

夜道を歩いているときに、涼しい風にのって、きんもくせいの香りがふと鼻先を掠める時期になると、C・Sルイスの「秋の観念」という言葉を思い出す。「ビアトリックス・ポターの『りすのナトキン』を読んだ時、似たような経験をした。わたしはポターが書い…

希望という名のあなた

前回の記事に関しては、一つの仮説といってもその内容の性質上、じっさいにアラゴルンが霊的な存在としてケリン・アムロスの丘を訪れたかどうかということはそもそも問題にできることでもないので、ここはあくまでもトールキンの死生観が(言外に)表現され…

現身の人間としては…

「Blackwelder氏記念論文集」中のRichard C. West 氏による Her Choice Was Made and Her Doom Appointed - Tragedy and Devine Comedy in the Tale of Aragorn and Arwen を読んでいたら、ちょっと面白い仮説が紹介されていた。「指輪物語は総じていえば決…

The History of The Hobbit

前出のBlackwelder氏記念論文集 の寄稿者の一人でもある John D. Rateliff 氏による「The History of The Hobbit」がついに完成するらしい。この本、「Mr.Baggins 」というタイトルでずいぶん前(たぶん10年以上前)からアマゾンにも近刊予告が出ていて刊行…

Blackwelder氏を称えて

こんな本が出ているのを知り、注文してみた。 The Lord of the Rings 1954−2004: Scholarship in Honor of Richard E.Blackwelderhttp://www.marquette.edu/library/information/news/2006/jrrt_proceedings.html Blackwelder 氏の名前は、A Tolkien Thesaur…

ここはお国を何百里・・・

Though here at journey's end I liein darkness buried deep,beyond all towers strong and high,beyond all mountains steep,above all shadows rides the Sunand Stars for ever dwell:I will not say the Day is done,nor bid the Stars fawewell.(RK BO…

Deep Magic と Deeper Magic

Johnnycakeさん、いつもコメントありがとうございます。コメントが長くなってしまいコメント欄に入り切らないのでこちらへ書かせてもらいます。(以下、ネタバレ有り。「ライオンと魔女」映画未見&原作未読のかたは注意してください)ピーターは長男として…

映画「ライオンと魔女」鑑賞

ナルニア、初日に行って来ました。夜の回だったからか、子供の姿はほとんど見当たらず、観客の年齢層が高いのが目についた。映画は原作の雰囲気をよく伝えていたと思う。映画向きに脚色された部分もさほど気にならず、見終わった後、LOTR映画のときのよ…

異境の気配をうたう歌 『八本脚の蝶』二階堂奥歯

弱冠26歳で自らの命を断った編集者の女性が亡くなる直前まで日々の思いを綴った「八本脚の蝶」というウェブサイトをご存知だろうか。そのサイトの日記が生前の彼女を知る人たちの回想を綴った文章と共にこのほど出版された。(『八本脚の蝶』二階堂奥歯 ポプ…

選択の前と後―フロドの傷の深さ

滅びの罅裂でフロドが指輪の誘惑に屈する場面はLOTRリーダーズ・コンパニオンで3ページにも及ぶ長い注釈になっているが、そこでKatharyne Crabbeという人 の評論が引用されている。以下、その引用部分を私訳してみる。「(指輪の持つ)悪の潜行的性質は、ト…