ここはお国を何百里・・・

Though here at journey's end I lie
in darkness buried deep,
beyond all towers strong and high,
beyond all mountains steep,
above all shadows rides the Sun
and Stars for ever dwell:
I will not say the Day is done,
nor bid the Stars fawewell.
(RK BOOK SIX)

サムがキリス・ウンゴルで口ずさむこの歌がトールキン・アンサンブルのCD(An Evening in Rivendell)に入っているのだが、これが底光りするような渋い名曲で、たまに聴きたくなる。

ところでサムのこの歌に受け答える形でフロドが自分の居場所を知らせるという、歌の応酬による相手の居場所の発見という設定はずいぶんノンキというか、いかにも中世説話的な印象を持つけれども、LotR リーダーズコンパニオンによると、これには獅子心王リチャード?世とその吟遊詩人ブロンデルの伝説というのが元にあるらしい。

十字軍遠征の帰途、捕囚の身となったリチャード王を、忠臣ブロンデルは城から城を探して歩き、王の居場所がわからないブロンデルは王が好きだった歌を歌い、その歌に途中から王が加わることで、王の居場所がわかったという伝説だそうだ。

トールキンはこの歌の応酬による囚人の発見というパターンをシルマリルでもフィンゴンによるマエズロス救出、ルシアンによるべレン救出でも用いており、よほどこの設定が気に入っていたようですね。

An Evening in Rivendell

An Evening in Rivendell