Blackwelder氏を称えて

こんな本が出ているのを知り、注文してみた。
The Lord of the Rings 1954−2004: Scholarship in Honor of Richard E.Blackwelder
http://www.marquette.edu/library/information/news/2006/jrrt_proceedings.html


Blackwelder 氏の名前は、A Tolkien Thesaurus というLotRに使われている主な単語をピックアップした語彙辞典の編纂をした人として知っていた。
これはThe complete guide to Middle-earth のような固有名詞便覧ではなくて、たとえばLotRの中で restless という単語がどういう文脈で使われているかなどという疑問を持った場合、この本で調べれば該当のページがわかるというような使い方ができる語彙辞典である。シッピィ先生も名著The Road to Middle Earth の中で、ある単語がLotR中に何回使われているかを調べるのにこの語彙辞典が役立ったと書いていた。

まあトールキンについて論文を書くような人でもなければ(つまり私のようなアマチュアファンは)持っている価値はほとんどなさそうな本だが、それでもLotR中に使われている単語をすべて網羅的に調べ上げるという、これはある意味、一種の奇書かもと思い、そこそこの値段なら買いたいと思って調べてみたらすでに絶版で、以来、たまにネット古書店に売りに出ているのを見かけるものの、100ドル以上するので今のところ手が出ない。

このBlackwelder氏が亡くなって、氏の業績を称えるためにマルケット大学で開かれた記念講演集を集めたのが本書である。
寄稿しているメンバーを見ると、錚々たるトールキン研究家の名前が綺羅星のごとく並んでおり、トピックもなかなか興味深そうだ。トールキンが使った単語に拘ったBlackwelder氏にあやかったものか、論文もトールキン世界における言語という側面にスポットを当てたものが多い様子。

表紙の写真はBlackwelder氏の近影だが、後ろの壁にはトールキンの写真やら絵やらがやたら張りつけてあり、一挙に親近感を持ってしまいました。

The Lord of the Rings 1954-2004: Scholarship in Honor of Richard E. Blackwelder

The Lord of the Rings 1954-2004: Scholarship in Honor of Richard E. Blackwelder