ホビット映画続編の感想

海外で公開されてからこの数ヶ月、トールキンファン界隈での評価を読みたい気持ちをぐっと押さえ、できるだけ前知識は入れずに観てきた。前作と同じく、IMAX、HFR3Dで鑑賞。

うーーーーーーーーん。原作と映画の違いとか、細かいこという以前に、何か感情移入するきっかけが持てないまま、矢継ぎ早に繰り出されてくるアクションに息次ぐ暇もなく、感情が置いてきぼりになった状態のままあれよあれよと最後までいってしまい、なんというかちょっと呆然としてしまった。What have they done!

帰宅してネットで感想を漁っていると、大枠のプロット、主要登場人物は原作とおりでも、内実はトールキンとはあまり関係のないアクションムービーだというような感想をいくつか見かけた。こういう感想を抱いている人が前作をどう評価してるのかわからないが、前作にはあったトールキン濃度が今作で薄まった感じは確かにあり、それは映画オリジナルのシーンが増えたという理由だけでもないように思う。

自分の場合、観ていて歯がゆく感じたのは、タウリエルとキーリのロマンスとか映画の創作部分よりも、原作通りのイヴェントがそれぞれ中途半端な描かれ方だったこと。ビヨルン、闇の森、エルフ王の館と、イヴェントを消化しつつも、なにかしら情感不在のまま先に行ってしまう感じ。ビルボ視点が少なかったせいだろうか。そう言えば前作に比べ、ビルボが大人しかった気がする。弱音を吐いたり文句を言ったり、ドワーフ達と旅の苦楽を共にしながらの感情的な交流をもっと観たかった。(魔の川とボンブールの件がカットされたのも痛い。)

ビヨルンや森のエルフはLotRにはない妖精物語的、童話的要素が原作の魅力の一つだが、エクステンディッド•エディションで何か追加がないか期待したい。(それにしても前作のEEはドワーフ達の悪ノリが観てて辛かった。ノーモア、バッドテイスト!)

たとえばビルボがつらぬき丸と命名するところやスマウグとの会話辺り、原作ではビルボが一種の神話的英雄として立ち現れる特別な瞬間だと思うけど、映画ではその辺あまり拘らずアッサリ描かれており、スティング命名ではビルボが見得を切ってくれるかと期待したが肩すかしだった。一作目ではビルボの意識の変化(もしくは成長)がテーマの一つだったと思うが、今回はそういう視点もなかったように思う。

とはいえ見る前からこういうシーンが観たいとあらかじめ期待していたわけでもなく、PJの想像力に身を任せるつもりで臨んだのだが、PJらしさを発揮してる部分では、総じてそのやり過ぎ感にもう笑うしかないわになってしまった。(前作でもそれはあったけども。)クライマックスのスマウグとの大立ち回りは、ドワーフと竜の直接対決がないことに原作読んださい物足りなく感じた記憶があるので、ここは映画的見せ物として何か脚色があってもいいとは思うが、最凶のドラゴン相手にドワーフ達が無傷で戦えていることで、結果、不死身のマンガヒーローと怪獣の戦いのような感じになってきたのはいかんともし難かった。