気になる本

今回で四巻目となるTolkien Studies を購入。毎号、肝心の論文のほうはロクに読んでもいないのだが、二巻目以降、書評欄の充実振りがすごく、ほとんど書評を読む目的で買っている。今回も既刊、近刊で読んでみたい本がいくつかあったので書いておく。




The Roots of Tolkien's Middle Earth (Paperback)
by Robert Blackham (Author)
イギリスに行くならまずはオックスフォードでトールキンゆかりの地を訪ねたいところだが、余裕があればバーミンガムやセアホールなどの郊外まで足を伸ばし、トールキンの原風景を訪ねる旅もしてみたい。本書はそのためのガイドブック。写真も多数掲載されているらしいので、紙上だけの旅でも愉しめそう。



The Philosophy of Tolkien: The Worldview Behind The Lord of the Rings (Paperback) by Peter Kreeft (Author)
トールキンの哲学と銘打ってはいても、内実はC・S・ルイスを援用しながらのキリスト教的な読み方に偏り過ぎていると、必ずしもレビューの評はよくないのだが、この人の書いたルイス関連の本を幾つか読んで以来、けっこうファンだったりする。ロマン主義的な超越性への憧れとキリスト者の天国への憧れとの繋がりを分析した「Heaven:The Heart's Deepest Longing 」という本など、面白く読んだ覚えがあり、本書でもトールキンに潜むロマン主義的要素を取り上げてくれていないか気になるところだ。



The Frodo Franchise: The Lord of the Rings and Modern Hollywood (Hardcover)
by Kristin Thompson (近刊)
PJ映画に関わった人々へのインタビューを通じて、今まであまり知られていなかった業界内の裏話まで書かれている様子。ドロドロとしたお金の話などは特に読みたいとは思わないが、Amazon に載っているシッピィ教授やTheOneRing.net のTehanu氏の推薦文など読むと、ただの業界裏話に終わってはいない様子で、ちょっと読んでみたい気がしてきた。


Tolkien on Fairy-Stories (近刊)
by Verlyn Flieger (Author), Douglas A. Anderson (Author)
「妖精物語について」のクリティカルエディション。「妖精物語論」はトールキンのファンタジー哲学のエッセンスがぎゅうぎゅうに詰まっている感があり、薄い本のわりに読み解くのはかなり骨が折れるけれども、この二人の編者の解題付きで読めるとなったら、これはずいぶん理解が深まることが期待できそうだ。出版された妖精物語論は、草稿を半分くらいに圧縮したものだそうで、本書が初出版となるロングバージョンの草稿も興味深い。