トールキンをめぐる人々

カーペンター氏への追悼文(?)

カーペンターとトールキンとの数十年にわたる関わりをアンダーソン氏が追悼文の中で跡付けてくれており、これがなかなか面白い。カーペンターとトールキンの出会いは氏が10歳ごろにLotRを読んだときに始まった。彼はLotR刊行から数年後、図書館で三巻本を…

カーペンター氏への追悼文

去年、Tolkien Studies という、アメリカのトールキン学者が寄り集って作られた年会誌(というか、研究誌)が発刊された。今までトールキン協会や Mythopoeic Society が発行する機関誌はあったが、こういうトールキンの名を冠した専門の研究誌はなかったは…

カーペンターよ、お前もか

海外のトールキンに関する研究本を読んでいると、日本ではほとんど問題にされないようなこと、たとえばトールキンの作品は連綿と繋がる栄誉ある英文学の歴史の一角に加えることができるような文学作品なのか、いや、そもそも普通の意味での文学作品と言える…

W.H. オーデンの話(その二)

W.H. Auden A Biography by Humphery Carpenter ,George Allen & Unwin p379より以下訳出「…その後まもなく、彼(オーデン)は多くの人々がなんの文学的価値がないと考えたある本を絶大に支持することで批評家たちを戸惑わせた。すなわちトールキンのThe Lo…

W.H. オーデンの話(その一)

コリン・ウィルソンがトールキンについて書いた”TREE BY TOLKIEN" という小冊子がある。総ページ数47ページしかないこの小冊子はウィルソンがトールキンについて連想の赴くままに書いた軽い読み物という感じの本なのだが、冒頭面白いエピソードが紹介されて…

トールキンと一人の日本人の邂逅

実際にトールキンその人に会ったことのある日本人って何人くらいいるのだろう。オックスフォードでトールキンが指導教官だった猪熊葉子氏は別格として、他に直接会ったという人は聞いたことがない。上智大学教授のピーター・ミルワード氏もオクスフォードの…