カーペンター氏への追悼文(?)

カーペンターとトールキンとの数十年にわたる関わりをアンダーソン氏が追悼文の中で跡付けてくれており、これがなかなか面白い。

カーペンターとトールキンの出会いは氏が10歳ごろにLotRを読んだときに始まった。
彼はLotR刊行から数年後、図書館で三巻本を借り出し、四日のうちに読了した(コリン・ウィルソンは三日で読了したという報告もある)。彼は18歳のときにもう一度読み返し、その再読が”his first real reading of the book" となる。
その3年後、カーペンターはオックスフォードのニューカレッジスクールで生徒たちによる「ホビットの冒険」の舞台上演用の脚本を書くことになった。(この舞台上演のための許可をとるためにトールキンを訪れた体験が伝記冒頭の「訪問」の元になったらしい。)
この「ホビットの冒険」の舞台上演は作品に出てくる詩に曲をつけたミュージカル仕立てで、カーペンターは脚本を書いただけでなく、上演のさい、オーケストラのダブルベースの演奏も担当していた。上演最終日に舞台を見学に来たトールキンは最前列に座り、カーペンターは舞台上から教授の反応を観察していた。

トールキンはナレーションと台詞が原作に忠実である限り満面の笑みを浮かべていたが、少しでも原作から離れるとしかめっ面をしていた。」

PJ映画を見ているトールキンの表情を想像せずにはおれない。きっと凄い百面相が拝めたことだろうと思う。(つづく)