書影を見る愉しみ

トールキンファンにはビブリオマニア的な人種が多いせいか、豪華版や愛蔵版の本が出るたびに新しく買い求めているファンも少ないないようだ。日本の場合は事情が違うが、英米ではLotRの愛蔵版がことあるごとに装いを新たに出版され、トールキン本コレクターは一体何種類のLotRを持っているのか、数えるのも大変そうである。

私は最初にLotRを読んだ旧訳の箱入り6巻本ハードカバーの他、旧訳文庫、新訳文庫、原書ではアンウィン版3巻本ハードカバー、バランタイン版3巻本ペーパーバック、箱入り7巻本のミレニアム・エディション(この版はBookI〜Book?&追補編という巻の分け方で、コンセプトは良かったのだが、いかんせん造本自体はチープだった)、そして先日買った50周年記念エディションの一巻本を持っていて、LotRだけで邦訳3種類、原書4種類という成績だが、これでもコレクター(と言うのもおこがましいか)としてはかなりストイックなほうだと思う。

使うお金はともかく本の収容スペースを考えても今度の50周年記念版で(しばらくは)打ち止めにしようと思ったが、愛蔵版の一巻本はじっさい読むには向いてないので、改訂版LotRの読書用にもっとハンディな版も手元に置いておきたくなってきた。イギリスではこの50周年改訂版の普及本(HBとPBの二種類)がハモンド夫妻の注釈本とセットになって既にハーパーコリンズから出ているようで、これからしばらく購入の検討にまたぞろ悩みそうだ。
(ほとんど同じ内容である場合、英国のトールキン関連の版元であるハーパーコリンズ版にするか、米国のホートンミフリン版にするかでもまた迷いますね。評論などの二次的著作なら躊躇せず安いほうを買うのだが、いわゆる「正典」に入る主要著作の場合、なんとなくトールキン本国のイギリス版をひいきにしたくなる。往々にしてイギリス版のほうが造本やページのレイアウトに神経が行き届いている印象もあるし。ただ英版は米版に比べ値段がずっと高いので、なかなか微妙なところだ。50周年記念エディションの一巻本は値段の大幅な違いと装丁的にも米版に文句はなさそうだったので米版にしたが、英国版の現物をじっさいに手にして比べてみているわけではないので、完全に納得した買い物だっとはいえなかった。)

ところで自分で現物の本を持っていなくても、過去に出版された様々な版の書影を眺めてるだけでもけっこう愉しいもので、以前 Treasures from the Misty Mountains: A Collector's Guide to Tolkien という、トールキンコレクターのためのビジュアルムックのような本が出たとき、かなり珍しいものまで網羅されていることを期待して買ってみたが、書影に関してはほとんどが現在流布しているエディションしか掲載されておらず、がっくりきた。
その後、以前のブログに書いたビルボの別れの歌のポスターの映像がネット上に転がってないか探していて偶然見つけたサイトがあり、見事なコレクションぶりに思わずひれ伏しそうになった。ポスターの項目には例のポーリン・ベインズのポスターもある。さすがに最近の新版までは手が回っていない様子だが、今では入手困難なレアな本の書影をたくさんアップしてくれており、昔の本をネットの古本で購入するさいにも参考になるのでリンクさせてもらいます。

JRR TOLKIEN : A COLLECTION

なんというか、ここまで集めている人がいると思うと、自分はもういいやというか、もうまかせたという気分になれ、私にとっては精神安定剤のようなサイトです。

Treasures from the Misty Mountains: A Collector's Guide to Tolkien

Treasures from the Misty Mountains: A Collector's Guide to Tolkien