The Letters of J.R.R.Tolkien


書簡集というと、家族や友人宛てのプライベートな身辺雑記や、出版社あてに書かれた事務的な報告などを想像しますが、たしかにそういう種類の手紙もあるものの、さすが編者のカーペンターとクリストファーはファンが求めるものをよくわかっており、この大部の書物のほとんどは中つ国関連のことがら、物語の数々のディテールに関して質問するファンレターへの応答(これがまた信じられないくらいに懇切丁寧)を筆頭に、教授自身による物語の意味やテーマの考察(多くの書簡は実際には投函されておらず、手紙というよりは思索的なエッセイに近い)、数々の名前の語源や意味の解説、LotR執筆中のビビッドな中間報告、エトセトラエトセトラで、実は私も全てのページをまだ通読できていないのですが、トールキン・ファンにとっては興味深い情報がいっぱい詰まった金の鉱脈みたいな本です。

(写真は初版のハードカバー。数年前にハモンド&スカル夫妻による、これまたこのコンビならではの完ぺき主義的に詳細な索引を新しく付けたペーパーバックが出て、このハードカバーは本棚の飾りになってしまいました。)

Letters of J.R.R. Tolkien: A Selection

Letters of J.R.R. Tolkien: A Selection

The Letters of J.R.R. Tolkien

The Letters of J.R.R. Tolkien