At the darkest hour もっとも暗い時に 「パンズ・ラビリンス」のネタバレあり

「さいごの戦い」つながりでもう一つ。
先日、ホビットの冒険の映画化で監督候補であるデル・トロ監督の「パンズ・ラビリンス」のDVDが出た。
私は日本版が出るのを待ちきれずにアメリカ版のDVDを取り寄せて見てしまったのですが、ラスト近くでパンがオフェリアに言う台詞、英語字幕の "Well done" のところでぶわっと涙腺がゆるみながらも、この感じはどこかで読んだぞと思い、「さいごの戦い」のペーパーバックをめくって見ると、アスランがチリアンに言うこんな台詞がありました。

"Well done, last of the Kings of Narnia who stood firm at the darkest hour."

「よくぞやった。もっとも暗い時のあいだに、けなげにもしっかりと立ちつくしていた、わがナルニアのさいごの王よ。」(岩波少年文庫p237)

パンズ・ラビリンス」はファンタジーの皮をかぶった児童虐待映画ではないかと言われるほど、苛酷な世界に投げ込まれた少女の運命を描いており、幻想シーンの印象も、モダンファンタジーというより「本当は恐ろしい○○童話」というような、子捨てやカニバリズムが横行するような古い民話の悪夢を感じましたが、この「さいごの戦い」にも通じるクライマックスにおいて、ファンタジーの正統に連なる作品になったという気がしました。