映画「薔薇の名前」を見る
映画「薔薇の名前」を輸入DVDで購入、英語字幕で見た。劇場公開時に一度、その後ビデオでも見直しており、さらに原作も読んでいるから英語字幕でもほとんど問題なく見られた。
ショーン・コネリーがフランチェスコ会修道士で、自分と同じフランチェスコ会の者をmy order と言っているのを聞いて、ガンダルフがサルーマンのことをやはりmy order と言っていたのを連想した。
order という単語を辞書で調べると、(宗)教団、修道会という意味の他に、(天使の)位階、品級という意味もあるようで、
同じマイア同士ということで、ガンダルフは後者の意味で言っていたのだろうか。
今回見た輸入DVDには、見覚えのないシーンが数箇所含まれており、特にディレクターズカットというわけでもなく、アメリカ公開版と日本公開版はもともと少し違う編集だったようだ。今回見たバージョンでは、いくつか増えたシーンによって、論理によって「真理」に到達しようとするバスカヴィルのウィリアムと、村の少女との愛を通して、別の次元の「真理」(愛=キリスト=神?)を垣間見たであろうアドソとの対比がより際立っており、前に見たときは「女のことばかり言っていて、アドソ、うざいな〜」って思っていたのだが、今回見直して、逆にアドソのエピソードこそ、この物語の(少なくとも映画版の)眼目だったのだなあと実感した。
ところで日本公開版では本編のラストにテロップで
〈バラは神の名付けたる名、我々のバラは名もなきバラ〉
というエピグラムが出ていたはずなのだが、今回見たバージョンではカットされていた。このエピグラムはタイトルの由来を説明するものだからあったほうがいいと思う。
しかしこの一文、対応する部分を邦訳の原作で見てみると、
〈過ギニシ薔薇ハタダ名前ノミ、虚シキソノ名ガ今ニ残レリ〉
となっている。元はラテン語で書かれた台詞のようだが、この二つの訳文、もとは同じラテン語の一文だったのだろうか?
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