Annotated LotR !! 米版 50周年記念エディション(近刊)

1954年にFotRの初版が刊行されてから今年でちょうど50年目。米での初版の刊行が54年10/21だったのに合わせて今年の10/21にホートン・ミフリン社が50周年記念エディションを発売するらしい。

The Lord of the Rings 50th Anniversary Edition
http://www.houghtonmifflinbooks.com/catalog/titledetail.cfm?titleNumber=689507

LotRの一巻本は実際読むには重すぎて本棚の飾りにしかなりようがないので、私はアラン・リーのイラスト入りの一巻本も、"No admittance except on party business." ブックエンド付き一巻本(このブックエンドには相当惹かれましたが)も買わずに我慢してきたのだが、今度ばかりはちょっと誘惑に抗しきれないかもしれない。

まず、箱入り表紙のデザイン。Artist & Illustrator の項で書いたように、サウロンの目を囲む三つの指輪のデザインを復活させたのが嬉しい。

さらにクリストファー・トールキン監修のもと、ハモンド&スカル夫妻がこの新版のために新しく校定の作業をしていること。
93年以降の LotR にはミスター・アンダーソンによるテキスト校定についての序文がついていて、あれを読むと誤植の類はほとんどなくなった印象を受けるが、どっこいそうじゃなかったんですなあ。HoMEの History of LotR を読むと、クリストファーが生原稿とタイプ原稿を精読する過程であらたに発見した誤植や遺漏がボロボロ出てくる。中にはセンテンス丸ごと脱落していた、なんてところもあってびっくり。(誤植だけではなく、方角などに関して矛盾が生じている記述も意外なほど多い)。映画の公開に合わせて映画のシーンを表紙にあしらった新版がずいぶん出たけれども、テキスト自体は93年の校定以来、改訂されていないはず。今度の新版でおそらくこういった誤記を最大限修整してくれるものと思う。

それと実はLotR本体よりもこれがいちばんの愉しみなのだが、今回の新版への補巻として、ハモンド&スカル夫妻がLotRのテキストへの詳しい注をつける作業をしているらしい。(こちらの刊行は来年の予定。)
http://www.bcn.net/~whammond/writing.html
今までの夫妻の仕事ぶりからして、きっとへぇーが連発する注を鬼のようにつけてくれるのではないかとつい期待してしまう。
50周年記念エディションの補巻としてこの詳注本が出るのであれば、照応するテキストはこの新版になるはずなので、詳注本を読むためにもこの新版を持っていたほうが便利そうだ。

というわけでこれからLotRの豪華本の購入を考えている方は
この新版も考慮に入れて検討するのがよろしいかと。